リタイアおじさんの介護とシニアライフ

名古屋市在住の70歳。要介護4(身障手帳1級)の妻を在宅介護しつつ、シニアライフをそれなりに楽しんでいます。

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売上の計上基準と預かり売上

売上はいつ計上する

売上の計上基準は、企業会計原則によれば「実現主義」によるものとされています。

特殊な販売形態を除けば

  • 出荷基準(発送基準)~商品を出荷(発送)した日
  • 引渡基準~商品が相手に届いた日
  • 検収基準~相手が商品を検収した日

のどれかを選択することになります。

私が前いた会社では出荷基準を採用していました。

そのメリットは出荷=売上であるから、在庫管理がしやすいことです。出荷すればその分在庫が減ります。出荷しても売上の計上がないと、棚卸した在庫に未計上の売上分を加えないと帳尻が合わず少々面倒です。

ただ、期末(月末)に出荷したものの、先方に商品が届かないことは普通にあります。そうすると先方の買掛金の認識額が当方の売掛金と合わなくなるため、何らかの調整は必要です。前いた会社では、期末棚卸日は出荷や生産を止め、棚卸に専念していました。

収益認識に関する会計基準の導入

2018年3月に、収益認識に関する包括的な会計基準となる企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が公表されました。また、これに伴い平成30年度税制改正において法人税法等の改正が行われました。今年(2021年)4月以降の開始事業年度から適用されます。

また決算が複雑になりそうです。リタイアしてよかった。!

ただ税法上は中小企業は従来の処理が認めらるとのことなので、新基準を導入する企業はまだそれほど多くはないと思います。

大企業の経理担当者は大変ですね。

経理スタッフは中小企業だけでなく、大企業でも不足しているようです。

次々と要求事項が増えて、対応するのは大変だと思います。

経理季節労働的なところがあり締め切りも厳格です。深夜になろうが徹夜になろうが、やらざるをえないのです。しかも正確なのは当然、間違いは許されません。理解してあげてください。

シンプルイズベストだと思いますが・・・

www.nta.go.jp

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/pdf/001.pdf

預かり売上とは何だ

私が銀行から前の会社に出向(半年後には転籍)した時、頭を痛めた問題に預かり売上があります。

https://www.hitachi-systems.com/ind/fs/words/sales-060/

預かり売上とは、売上は計上するものの商品は出荷しない(自社で預かる)形態です。

請求済未出荷契約と呼ばれるもので、そもそも冒頭の売上基準を満たしていませんが、一定の要件を満たした場合は会計的に認められるようです。

https://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/ota-tatsuya-point-of-view/2020-04-01.html

本来は例外的扱いですが、前いた会社では私が出向した頃(20年前)には当たり前のように行われていました。要件など満たしていません。

営業担当役員に話すと

「お金を貰っているのに売上ではないというのはおかしい」

という返事が返ってきます。

「おかしいのはあなたの頭でしょう。会計としては認められません」

と言いたいところですが、出向したばかりの身では強くは言えません。

当時の社長も営業出身で、解決には不熱心です。

私の前2代も同じ銀行出身で、きちんと対応してこなかったのも問題かもしれません。

ただ、ズサンな預かり売上が横行していたため、次のような問題が発生していました。

  • 個別の棚卸がマイナスになる~在庫数以上に出荷してしまうため、預かり売上分(本来は顧客のもの)を控除するとマイナスになる在庫商品がいくつもでてきます。棚卸分10個から預かり分20個を控除すると、期末在庫数はマイナス10個と棚卸在庫表に記載されていました。会計的にはありえません。そもそも売上に対応する適切な原価を計算できません。
  • 何年たっても出荷されない預かり品が存在する~管理がズサンなのでどうにもなりません。先方も決算が終わっているでしょうから、今更出荷しても受け取ってくれない可能性があります。

システム変更時になんとか解決

この問題、営業担当者に聞くと、結構問題視している人もいました。

預かり売上を悪用して売上を伸ばしている担当者がいる。正しいルールでやるべきだ、と言います。

また出荷担当者に言わせれば、「事務が煩雑になるだけでなく、営業担当者がルーズなため管理するのが困難になっている。原則やめるべきだ。」という声が返ってきます。

上がルーズなだけで、多くの心ある社員は問題視しているようです。

社内の空気も分かったので、役員会等で問題点を指摘し、少しづつ理解を求めるようにしました。

最終的に解決したのは、システムを全面改訂した入社後5年たってからのことです。(システム改定は私が全面的に対応)

新システムでは、預かり売上を計上する際の手順を複雑にし、かつ該当在庫を社内倉庫内に別置きし明示することとしました。棚卸からは当然除外されます。システムの問題なのでこれ以外には対応できないと役員会で同意を取りました。

するとそんな煩わしいことをしてまで預かり売上をしたくないということで、預かり売上はほぼなくなりました。そもそも預かり売上に疑念を持っていた社員も多かったので意外と受け入れられたのです。

お客さんもいったん断られれば、もうお願いしてきません。

正しいことを根付かせるのも結構エネルギーが必要で、時間もかかります。

企業の風土や慣習は簡単には変わりません。

強要するのではなく、根気よく説得し、タイミングを見計らうことも大切です。