リタイアおじさんの介護とシニアライフ

名古屋市在住の70歳。要介護4(身障手帳1級)の妻を在宅介護しつつ、シニアライフをそれなりに楽しんでいます。

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減資して資本金を1億円未満にするとメリットあり

減資にはマイナスイメージがつきまとうが・・・

減資という言葉を聞くと、銀行に勤務していた経験を持つ者としてはネガティブな感情を持ちます。

経営が悪化した企業が繰越欠損や債務超過を解消するために減資が行われることが時折あるからです。

減資とは経営が傾いた企業が行うものというイメージが焼き付いています。

ただ最近は積極的に減資を行う企業もでてきています。

私の勤めていた企業も資本金が1億円を少々超えていたのですが、1億円未満に減資した経験があります。

特に問題は起こらず、メリットを享受した記憶があります。

資本金10億円以上の大企業が1億円未満に減資するのはどうかと思うところはありますが、1億円を少し超えた程度の資本金であれば検討する価値はあると思います。

資本金を1億円未満するメリットをあげると

〇税務調査の管轄が国税局から税務署に変わる

税務調査は資本金が1億円未満になると税務署の所管になります。

法人に対する税務調査 「税務署」と「国税局」の所轄の区分について | 「国税局・調査部」に関するQ&A:税務調査の立会い専門の国税OB税理士チーム (tax-support.xyz)

中小企業の場合、税務署所管の方が調査の回数が増える可能性もありますが、国税局の方がレベルが高く指摘も厳しくなります。税理士も税務署の調査スタッフとは立会でよく顔を合わせていますから、調査の仕方から調査員の性格まで情報が得やすくなります。

〇中小企業の税制支援措置を受けられる

中小企業等経営強化法に基づく税制支援措置の対象企業は資本金1億円以下の企業です。(大企業の子会社等は例外です。)

中小企業等経営強化法に基づく 支援措置活用の手引き (令和3年度税制改正対応版) (meti.go.jp)

その他にも下記サイトの通り、税制面で優遇されています。

biz.moneyforward.com

経理事務が簡素化されたうえ、収益面でもメリットあり

中小企業は経理人員がごく限られるので、事務手間を省けるメリットもあります。

①外形標準課税の対象外となる。対象は資本金1億円以上の企業であり、1億円以下に減資すれば対象から外れます。(Q4の回答参照)

外形標準課税に関するQ&A> | 法人事業税・法人都民税 | 都税Q&A | 東京都主税局

(tokyo.lg.jp)

納税額の状況によって損得は別れますが、課税額算出の手間は減ります。

②法定繰入率で貸倒引当金を計上できる

本来は過去の貸倒実績で計上しますが、資本金1億円以下の企業は法定繰入率で計上できます。

No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定|国税庁 (nta.go.jp)

③少額減価償却資産の特例を利用できます。

取得額30万円未満の償却資産を総額300万円まで損金算入できるので、償却資産の管理が楽になります。

No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁 (nta.go.jp)

④交際費(飲食関係)が800万円迄は損金算入できる。

交際費(飲食関係)に該当するかどうかの判定は結構難しい時があるので、枠があると柔軟に対応できます。

No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁 (nta.go.jp)

減資手続きは難しくない

減資の手続きは難しくありません。

株主総会の決議、債権者保護手続き(官報公告と債権者への催告)を経て減資登記申請を行うことになります。

株式会社の減資手続きはどのようにして行うのか | 会社法の注意点, 行政書士業務ブログ | TOMAコンサルタンツグループ

欠損てん補以外の減資の会計処理は、資本金が減少し、その他資本剰余金が計上されます。

資本金の減少に係る法律・会計・税務 | 情報センサー2019年12月号 押さえておきたい会計・税務・法律 | EY Japan

主要取引先に事前説明を

一連の手続きの中で最も重要なのは、取引先にあらぬ疑いを抱かれないよう事前に出向いて説明することです。

取引金融機関はもとより、大口の販売先(催告は義務づけられていませんが、事前に話しておいた方が無難です)、仕入れ先にも丁寧な説明が必要です。

実際に減資を実施した際は私が担当者と取引先を訪問し、上記のメリットを説明するとともに、決算の概要を見せ決して業況が悪くなったから減資する訳ではない旨を伝えると、問題なく理解してもらえました。

大事なことは会社の業況が良い時に減資を実施すること。減資のメリットは業況がよい時こそでてきます。取引先も納得してくれます。

会社の業績が悪くなってから減資を行ったのでは、取引先に警戒心を抱かせ逆効果になります。

減資はタイミングと説明が重要なポイントです。