相続したみかん畑を処分したいが・・・
2年前、父の死去により保有していた不動産を相続しました。
内訳は住宅(母が一人で住んでいます)、近くの畑(母が野菜を作っています)、田(静岡県農業振興公社に貸し出し)、みかん畑(収穫せず放置)といったところです。
利用されている土地はよいのですが、みかん畑は実家から3kmくらい離れた山の開墾地にあり、もう5年以上放置されたままです。
面積12,000㎡(3,700坪)、固定資産税評価額40万円、年間固定資産税5,600円と面積はほどほどありますが、価値はほとんどありません。
固定資産税負担は少額で問題ないのですが、未利用、未管理の土地を残しておくのも先々トラブルを招きかねません。
売却しようにも山間の段差のある土地で、周りに民家はなく、市街化調整区域内(基本家が建てられない)、地目に畑が含まれている(農地法で処分利用が制限される)となると、売却しようにも買手がつくとは思われません。
本音は所有権を放棄したいところですが、簡単にはできません。
相続土地国庫帰属法で放棄できるか
そこで期待したいのが今年4月21日に成立した、「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)です。2年以内には施行されることになります。
相続によって土地の所有権をいったん取得した人が、土地を手放して国庫へ帰属させることを可能にする制度です。
ただし、この制度を利用するには条件があります。
上記サイトによると、下記いずれにも該当しないことが必要です。
1. 建物の存する土地(法第2条第3項第1号)
2. 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地(同項第2号)
3. 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地(同項第3号)
4. 土壌汚染対策法第2条第1項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地(同項第4号)
5. 境界が明らかでない土地その他所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地(同項第5号)
6. 崖(勾配、高さその他の事項について政令で定める基準に該当するものに限る。)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(第5条第1項第1号)
7. 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(同項第第2号)
8. 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(同項第3号)
9. 隣接する土地の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の管理又は処分をすることができない土地として政令で定めるもの(同項第4号)
10. 1から9までに掲げる土地のほか、通常の管理又は処分をするに当たり過分の費用又は労力を要する土地として政令で定めるもの(同項第5号)
この中で気になるのは6の崖。みかん畑ですので山の傾斜地を開墾して段々畑になっています。通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要する土地と判断される可能性があります。
あと、みかん畑ですから当然ながらみかんの木が植えられていますので7には該当します。伐採すればクリアできるのですが、結構費用がかかると思います。
その他の条件はクリアできていると思います。
もう一つの問題は農地(畑)が含まれていることです。
これについては法律の12条に農用地又は森林として利用されている土地のくだりがあり、農地も対象になるようです。
●相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律案 (shugiin.go.jp)
施行までまだ2年ありますので、詳細が出てから検討することになりますが、国への帰属は可能なのかもしれません。
ただ、承認審査後の10年分の管理費用(詳細未定)を負担しなければならないことや、みかんの木の伐採処分費用が結構重荷になるかもしれません。
タダで国に差し上げると申し出ているのに、もうちょっと考えてくれよという思いはあります。