将来的には相続放棄を念頭に入れていたが・・・
2年前父親が死去した時、保有している不動産は私が全て相続しました。
当初は母親に相続してもらおうと考えていました。
高齢の母親が亡くなった際には、相続放棄が視野に入っていたからです。
父親の保有していた不動産は実家の土地建物、田(賃貸中)、みかん畑です。
将来母親が死去すると、実家は空き家となり、その他の土地も管理不在となります。
不動産以外の預金は今後母親の生活費・介護費用でほぼ消える見込み(足りなくなった分は私が援助を予定)ですので、後々面倒なことが起きそうな不動産を相続するよりは相続放棄した方がよいのではないかと考えていました。
この時は、母親がどうしても私に相続して欲しいとの気持ちが強く、やむなく私が相続しました。
ただ、相続放棄は私が考えていたほど簡単ではないようです。
家庭裁判所への手続きが必要
相続放棄は相続の開始があったことを知った時(被相続人が亡くなった日)から3か月以内に行わなくてはなりません。
それ迄に被相続人の財産を借金を含め確認し、判断する必要があります。事前に調査してあれば別ですが、あまり時間がありません。
次に家庭裁判所に申述しなければなりません。弁護士に依頼しなくても自分でできるようですが、それなりの手間と知識が必要です。(上記サイトをご覧ください)
弁護士に依頼するとなると5万~10万円程度の費用がかかるようです。
不動産の相続放棄は注意が必要
上記サイトに専門家に依頼すべきケースとして遺産に不動産が含まれている場合があげられています。
相続放棄しても管理義務は残るのです。
相続人が一人の場合や、複数の相続人全員が相続放棄した場合は、相続放棄しても遺産を管理しなければなりません。
上記サイトでは、相続放棄者がきちんと財産を管理しなかった場合のリスクとして次のことをあげています。
- 損害賠償請求される
- 事件に巻き込まれる
- 勝手に遺産を処分すると、「法定単純承認」が成立して相続放棄の効果がなくなってしまうこともある
このため、同サイトでは相続放棄者が管理責任を免れる方法として
- 次順位の相続人に引き継ぐ
- 家庭裁判所で相続財産管理人を選任する
をあげていますが、1の方法は同意を得るのが難しいかもしれません。
2の方法が現実的ですが、この場合は20~100万円程度の予納金が必要となります。タダではありません。
同様にマンションの相続放棄をするときも注意が必要です。
上記サイトによれば、「相続人全員が相続放棄をした場合やそもそも相続人が1人しかいない場合には、相続放棄をしても、マンションの管理を継続しなければなりません。そのため、相続放棄者は、マンションを管理する立場として管理費を支払いする義務を負う可能性があるといえます。」
と書かれています。
これを避けるためには「家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらって、管理を引き継ぐことが必要です。引き継いだ後は、相続財産管理人が、預貯金やマンションの売却代金などから滞納管理費を支払うことになるでしょう。」
とされています。いずれにしても費用がかかります。
相続放棄すると遺品の処理すらままならない
「単純承認」とはマイナスの財産を含む財産を相続することに,、意思を示さずとも承認する行為を行った場合を指します。相続財産を個人の判断で処分したり隠したりすると、単純承認したと見なされて相続放棄が不可能になるケースがあります。
上記サイトでは下記が例として挙げられています。
・故人の預貯金を勝手に下ろし、生活費に使用した
・財産を故意に損壊、もしくは破棄した
・悪意をもって相続財産を隠匿した
何が相続財産の処分に該当するかは素人には難しい判断です。
通常の葬儀費用であれば相続放棄を選択しても、相続財産から葬儀費用を払えるようですが、身分不相応で華美な葬儀を行った場合は限定承認とみなされるようです。
上記サイトには認められるものと認められないものがあげられていますが、結構神経をつかわなくてはなりません。
借金が相続財産を大幅に上回っている場合は相続放棄は有力な手段ですが、単純に相続財産に価値がなく管理が面倒という理由で相続放棄を選択すると、かえってトラブルに巻き込まれたり、費用がかかる場合があります。
私の場合も父の不動産を相続して正解だったかもしれません。
先行きの管理や処分の問題は頭が痛いのですが・・・