空き家を長期間放置する訳にはいかず
母が介護施設(介護付有料老人ホーム)に入居したい意向を示しており、施設側も受け入れ可能との返事を貰っています。
まだ、詰めが残っており最終確定した訳ではありませんが、母が介護施設に入居した後のことも考えておく必要があります。
とりあえず、考えておかねばならないのが、実家の管理です。
母が住んでいる実家は2年前父が死去した際、私が相続し、母が一人で住んでいます。
母が施設に入居するとなれば、実家は当然ながら空き家になります。
私も子供たちも実家に住むということは将来的にもありません。
空き家のまま放置することは所有者のリスクであり、このリスクが原因となって、近隣住民、歩行者等の第三者に危害が及ぶ場合は、所有者の責任が問われる事態に陥り、補償を要する事態となることも予想されます。
不動産業者に空き家管理を依頼するサービスがあるようですが、その場合は月数千円の費用がかかるようです。
良くある質問 | 静岡県空き家相談窓口 (s-kyo.com)
短期的にサービスを依頼することはあっても、将来的に住む予定のない家の管理に長期間費用を出すのは合理的ではありません。
建物を取り壊せば空き家問題はなくなりますが、空き地管理の問題は残りますし、解体費用がかかることや、固定資産税アップという問題が生じます。
売却するのが一番だが、税金が結構かかる
このため、土地建物毎なるべく早い時期に売却することを検討しています。
売却することで管理責任からは逃れられますし、売却代金を母の施設費用に充当することもできます。
母は先祖代々の土地を売却することに抵抗があるかもしれませんが、そこは納得してもらうしかありません。
土地を売却するとなれば譲渡所得に税金がかかるため、注意が必要です。
譲渡所得は下記の式で計算されます。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)= 課税譲渡所得金額
取得費は売った土地や建物を買い入れたときの購入代金(建物は減価償却費相当額を控除します)や仲介手数料などの合計額になります。
土地は相続したもので曾祖父以前に取得していますから、取得代金は不明です。建物も築30年以上ですから大した評価にはなりません。
したがって取得費は売却額の5%を適用せざるをえず、売却額の95%が譲渡所得となります。
税率は、「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって異なります。
土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
長期譲渡所得なら税率は20%(住民税込)、短期譲渡所得なら39%(同)です。
私の場合相続から2年しか経過してませんが、「相続や贈与によって取得したときは、被相続人や贈与者の取得の時期がそのまま取得した相続人や受贈者に引き継がれる」ため、今すぐ売却しても長期譲渡所得となります。
それでも、売却額の19%(95%×20%)を税金で持っていかれるのはつらいところです。
なお、空き家となった相続不動産を売却した場合には特例があります。
相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
一定要件とは①昭和56年5月31日以前に建築された②区分所有建物登記がされている建物でなく③相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったものです。
実家は平成2年建築ですから、残念ながら対象にはなりません。
簡単に実家が売れるかどうか?
実家は市街化区域内にあり売買は可能ですが、片田舎ですから簡単には買い手がつかないことは十分考えられます。
固定資産税評価額は14百万円くらいしていますが、10百万円くらいで売却できれば御の字というところです。
また、他の相続不動産(田、畑、みかん園)の処分も同時に考えておかねばなりません。農地は農地法の壁があり売却は難しく、みかん園は山の斜面で買い手がつきません。こちらも管理責任があり、放っておく訳にはいきません。
母は介護施設に入った段階で(まだ入るかどうか流動的ですが)、不動産業者と相談を始めようかと考えています。