不動産相続の流れ
3年前の夏、父が亡くなりました。
相続財産は預金と不動産(実家の土地建物と農地)です。
不動産といっても田舎ですから、価値は乏しくかつ買い手もつきません。
特に農地は面積は広いものの、不便な場所にあるうえ、農地法の規制もあって処分に困るというのが実情です。
本音は相続したくなかったのですが、母親のたっての希望もあり不動産に大半は私が相続することになりました。
不動産の相続手続きの流れは下記をご覧ください。
相続不動産を調べる
まずは、相続不動産を調べなければなりません。
私の場合は固定資産税の納税通知書が残っていましたので、おおよその財産はこれで目安がつきました。
ただ、これに全てが掲載されている訳ではありませんので、区役所で固定資産課税台帳(名寄帳)を発行してもらいました。
父の所有不動産には公衆用道路があり、これは固定資産税が課せられていないため、固定資産税の課税台帳には記載されていませんでした。
課税台帳を取得したのは司法書士の指示によるものです。
不動産の相続は登記が必要となるので、早めに司法書士に相談するのがよいと思います。
納税通知書がなければ、所有する不動産があると思われる市区町村で名寄帳を調べることになりますが、住んでいた自治体とゆかりのある自治体であれば調べられますが、それ以外は難しいと思います。
なお、不動産といえば権利書が頭に浮かびますが(茶色の封筒に大事にしまってあることが多いと思います)、普段目にする機会が少ない人には見てもよく分かりません。
古いものですと手書きの書類に登記所(法務局)の印鑑が押されており、チンプンカンプンの文書です。そのまま司法書士のところに持っていって、見てもらうのが一番です。
不動産登記簿を確認する
相続不動産を調査したら、不動産の登記簿を確認しておくことをお勧めします。
登記事項証明書(登記簿謄本)は司法書士に依頼してもよいですし、自分で取得することもできます。
登記事項証明書等の請求にはオンラインでの手続が便利です :法務局 (moj.go.jp)
登記簿謄本を取得したら、中身を確認します。慣れていない人は司法書に確認してもらうとよいと思います。
不動産登記簿謄本(登記事項証明書)の見方を初心者にもやさしく徹底解説!「イエウール(家を売る)」 (ieul.jp)
ポイントは甲区に記載されている所有者の名前と、乙区に記載されている抵当権等です。
所有者では、親ではなく祖父母が登記名義人になっている場合があり、その場合は手続きが複雑になります。
私の場合は、農協の抵当権が設定されていました。もちろん債務は残っていないので、相続登記完了後抹消してもらいました。
住宅ローンを完済しても抵当権抹消をしていないケースが散見されるようですので、その場合は抵当権を設定している金融機関に確認をしておくのが無難です。抵当権抹消には若干の費用がかかりますが、売却等をする場合は阻害要因となりますので、相続の段階で処理しておくことが重要です。
遺産の分割協議
相続すべき不動産が確定したら、遺産分割協議書を作成します。
私の場合は司法書士に不動産分の遺産分割協議書を作成してもらいました。
(預金分は別途作成しました。預金の場合は遺産分割協議書がなくても、相続人の実印押印があれば銀行で相続手続きができます。)
遺産分割協議書は不動産の相続登記には必須の書類です。相続人でも作成できますが、登記所の審査が厳しいので、司法書士に依頼するのが無難と思います。
遺産分割協議書では、相続人全員の自筆の署名と実印の押印が必要です。
亡父の不動産の相続では、私が会社で懇意にしていた名古屋の司法書士に依頼しましたので、私以外の相続人(母、弟、妹)は全員名古屋に来てもらい、司法書士事務所で遺産分割協議書に署名、押印してもらいました。
司法書士が第三者的な立場で相続内容を相続人全員に確認してくれるので、後々のトラブル防止につながります。
不動産の相続登記
遺産分割協議書ができれば、次は不動産の相続登記です。
不動産登記も自分でできますが、余程の専門知識を持った方でなければ、司法書士に依頼するのが無難です。
私は銀行で不動産の登記(主に抵当権設定登記)に関わってきましたが、さすがに自分で登記しようとは思いません。
必要書類が下記にまとめられています。
不動産相続で必要な5つの手続き!かかる費用も徹底解説 (home4u.jp)
相続人全員の戸籍謄本(被相続人死亡日以降のもの)
相続人全員の印鑑証明書
被相続人の戸籍謄本(出生時から死亡時まで一連の全ての戸籍謄本)
被相続人の住民票の除票(本籍の記載のあるもの)
遺産分割協議書
不動産の登記事項証明書
不動産を相続する相続人の住民票
不動産の固定資産評価証明書
といった書類が必要です。
預金の相続に使う書類と重複しますので、多めに取っておくのが無難です。
このうち被相続人の戸籍謄本(出生時から死亡時まで一連の全ての戸籍謄本)は原戸籍と呼ばれるもので、相続手続きに際しては必ず必要となります。
私の場合は事前に司法書士から必要書類が示されましたので、相続人に連絡して用意してもらいました。
権利書は相続登記には必要ありません。
登記が終わると、新たに権利書が作成されます。これで相続手続きは完了です。
なお、相続税については、評価の問題等もあり別途アップロードします。
農地の相続は届出で可
なお、私の相続した土地には農地が含まれていました。
農地の相続には事前の申請等は不要ですが、農業委員会への届出が必要です。
農地の相続等の届出について/浜松市 (city.hamamatsu.shizuoka.jp)
特に難しい手続きではありません。
所定事項を記入して提出するだけです。