年金繰り下げ受給の損得
私は年金の繰り下げ受給を選択しています。
幸いにして66歳迄働けたので多少余裕ができ、年金受取額を増加させるため繰り下げています。
とはいえ、もうすぐ69歳になりますので、今年のどこかの時点では年金受給を開始する予定です。
今年4月には年金法が改正され75歳迄繰り下げ受給が延長される予定です。
年金繰り下げのメリットは受け取る年金額が増えること。受け取りを65歳から1カ月遅らせるごとに、0.7%ずつ年金額が増える。70歳に遅らせると総額で42%に増加します。
繰り下げている間年金をもらえませんので、ある程度長生きしないと総支給額はプラスにはなりません。
70歳から年金を貰い始めると、82歳迄生きないと総支給額がプラスになりません。
ただ、死んでから年金をもっと早く貰えばよかったと後悔することはないとは思いますが・・・
それより、想定以上に長生きして生活資金に余裕がなくなる方がよりつらい思います。
年金を繰り下げるのは長生きするリスクに対する保険と考えています。
いつ死ぬか分かっていれば苦労はしないのですが・・・
では現実に年金を繰り下げ受給している人がどのくらいいるかというと、ほとんどいないようです。
少々古い記事になりますが、これによると年金を繰り下げ受給している人は2%くらいしかいません。
9割の人は支給時期がきたら年金を受け取っています。
その理由はリタイアしている人が多く生活資金が必要ということでしょうか。
年金の繰り下げ制度を知らないという人もかなりいるでしょうし、国の財政状況を見て年金制度の継続に疑念を持っている方も結構いるかもしれません。
私の弟(63歳)はサラリーマンから自営業に転身したため年金受給額はそれほど多いとは思われませんが、70歳まで働き(自営で定年はありません)、年金受給はそれ迄繰り下げるといっています。離婚して独り身なので、老後に備え少しでも受給額を増やしたいようです。
年金と税金・社会保険料
年金を繰り下げても、税金や社会保険料で持っていかれるから意味はないという意見も時々見ます。
ただ、健康保険料の所得割(後期高齢者で9.64%)や地方税の所得割(10%程度)は定率ですし、所得税も相当多額な年金を貰わない限り5%の税率です。介護保険料は所得に応じて15段階に区分されていますが、所得が増えるほどに保険料は増えません。
年金が増えると累進的に税金や社会保険料が増える訳ではありません。年金受給額の一定率が税金・社会保険料として徴求されるので、年金受給額が増えればそれに比例して手取りの額も増えます。
年金を繰り下げ受給する価値は十分あると思います。
なお冒頭のネット記事の2ページ目に「繰り下げた期間は年金を受け取っていないため、関連する税や保険料も発生しない」とありますが、健康保険料には均等割があり、介護保険料は一番低い第1段階でも19,928円の保険料が発生します。
私も年金を繰り下げしているため収入0円ですが、社会保険料はしっかり徴求されています。
年金が増えると不利な扱いを受けることがあるので注意
とはいえ、年金受給額が増えると介護保険や健康保険で不利な扱いを受ける可能性がありますので注意が必要です。
まず住民税非課税世帯であれば、介護保険料が課税世帯に比べて格段に安くなります。
第1号被保険者の保険料 | 介護・障害情報提供システム (city.nagoya.jp)
高額医療費、高額サービス費(介護保険)、高額医療合算介護サービス費の上限が低く設定されています。先般の私のブログをご覧ください。
住民税非課税となるのは単身世帯では所得金額45万円以下、夫婦二人世帯では101万円以下の世帯です。(他の同居家族に住民税課税者がいると非課税世帯にはなりません)
名古屋市:市民税・県民税が課税されない方(非課税)(暮らしの情報) (city.nagoya.jp)
年金収入だけですと、単身世帯で155万円以下、夫婦二人世帯で211万円以下がブレークポイントとなります。
女性の方は平均寿命からみても夫より長生きする可能性が高いと思われますので、年金収入を155万円以下に抑えておくと有利です。
住民税非課税以上の年金収入がある方は、年金収入次第で医療費や介護サービスの自己負担(75歳以上であれば一定基準以下の人は1割負担)が2割、3割に上がる場合があります。高額サービス費(介護保険)、高額医療合算介護サービス費の上限も高くなりますので、高齢になって介護や医療が必要になると負担も無視できません。
年金収入が300万円を超えると注意が必要です。
75歳迄年金を繰り下げ受給すると年金は65歳から受け取る場合に比べ84%も増えますが、医療や介護面でのディメリットを考えると70歳迄には受給を開始した方がよいような気がします。
年金の受給額はねんきんネットで試算できますので、上記の所得区分を確認しながら年金の受給時期を決めるとよいかもしれません。