リタイアおじさんの介護とシニアライフ

名古屋市在住の70歳。要介護4(身障手帳1級)の妻を在宅介護しつつ、シニアライフをそれなりに楽しんでいます。

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年金は大丈夫か

年金は大丈夫?

年金の将来に不安を持っていられる方は高齢者にも多いと思います。

年金制度はいつ崩壊するかわからないから、貰えるものなら早く貰っておこうと繰り上げ受給を選択する人もいます。ましてや繰り下げ受給などもっての外という訳です。

「早死にするから大丈夫!」と豪語する年金未納者を待つ残酷な末路 半数以上が年金だけで生活している (2ページ目) | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

国民年金保険料を払っていない人は第1号被保険者の3割もいるようです。(ただし、会社員や公務員等の第2号被保険者は全員給与から天引きされるので、全体での未納者は2%程度のようですが)

確かに現状の年金制度が多くの問題を抱えているのは間違いありません。盤石でないのは確かです。

でも年金制度が崩壊するリスクよりは、年金なしで長生きして生活費に困窮するリスクの方がはるかに高いと思われます。

では日本の年金財政がどういう状況になっているかというと、厚生労働省のサイトに「公的年金の単年度収支状況」が掲載されています。

www.mhlw.go.jp

最新版(平成元年度)が下図です。

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上記厚生労働省サイトより

令和元年度の収支状況は公的年金全体で

金保険料収入が39兆円なのに対し

年金給付費用は53兆円に達しています。

この差額を国庫・公経済負担の13兆円で埋めています。

一方で、年度末の積立金は191兆円あり、年間給付費用の3.6年分が積み立てられています。もし国庫負担がないとすると年間の年金収支(給付費用-保険料収入)は14兆円弱の赤字ですが、その場合でも14年間近く年金の支払いが可能なことになります。

若い世代はともかく、60代以上の世代が生きている間に年金制度が崩壊する恐れはほとんどないと考えてよいと思います。

日本の年金制度は賦課方式

日本の公的年金は、基本的に「賦課方式」で運営されており、現役世代が納めた保険料は、そのときの年金受給者への支払いに充てられています。

www.mhlw.go.jp

上記サイトによれば、賦課方式の特徴は

○社会的扶養の仕組みであり、その時の現役世代の(給与からの)保険料を原資とするため、インフレや給与水準の変化に対応しやすい(価値が目減りしにくい)

○現役世代と年金受給世代の比率が変わると、保険料負担の増加や年金の削減が必要となる

とされています。

本来であれば保険料収入で年金給付を賄えれば問題ありませんが、現実には14兆円近くの支払超過になっています。これは少子高齢化が急に進んでいるためで、継続的な国庫負担(税金投入)で不足分を埋め、積立金を活用して均衡を保とうとしています。



財政検証の中身は?

このため、財政検証という長期にわたる公的年金の収支の見通しや、マクロ経済スライドに関する見通しを作成し、公的年金財政の健全性を検証する制度が導入されています。財政検証では、少なくとも5年ごとに人口や経済の実績を織り込んで、新しい見通しを作成しています。

最新の財政検証は2019年(令和元年)に行われ、その結果は厚生労働省のサイトに掲載されています。

www.mhlw.go.jp

ただし、内容は極めて難しい内容でよほどの専門知識がないと理解できません。私のような凡人では理解不能です。

同じ厚生労働省のサイトでもこちらの方がわかりやすいかと思います。

www.mhlw.go.jp

財政検証でポイントとなるものに、年金積立金の水準(積立度合)の見通しがあります。積立度合とは「各公的年金制度において、前年度末の積立金が、当年度の基礎年金拠出金や給付費等の支出の何年分に相当するかを示しているもの」です。令和元年度は先ほど見たように公的年金全体で3.6くらいです。

マクロ経済スライドによる給付水準の調整は、おおむね100年後の積立度合が1となるように行われています。

公的年金財政検証では、保険料収入、国庫負担、積立金の運用による収入と支出のおおむね100年にわたる見通しを作成しています。

これを経済状況の前提を変えて100年間の推移を試算したのが下図です。

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上記厚生労働省サイトより

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上記厚生労働省サイトより

Eは経済が好調なケースですが、GやHでは経済が成長しないケースです。

厚生年金は経済が低調でも持ちこたえられそうですが、国民年金は経済状況次第で途中で積立金が無くなる可能性があります。

いずれにしても年金制度の維持のためには、保険料率のアップ、年金給付額の抑制、消費税率のアップ(国庫負担の増加)等が継続的に議論されていくと思われます。

ただ、私のような年金を受給する世代にとっては年金制度を信用して生活基盤を構築していくしかありません。