金融資産の3分の2は銀行預金
2021年の家計調査(貯蓄負債編)に高齢者世帯(世帯主が65歳以上の無職世帯)の貯蓄状況が出ています。
Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況 (stat.go.jp)
これによると貯蓄高の平均は2,342万円で、そのうち銀行預金が66.1%を占めており、残りは有価証券が16.6%、生命保険が16.6%となっています。
このうち有価証券は株式や投資信託が主体のようです。
一方、私の現時点の金融資産の構成は下記グラフのようになっています。
預金は67%と高齢者平均とほぼ同じです。(定期預金の割合がかなり多いですが)
一方、有価証券は24%と高齢者平均を上回っています。
ただし中身は全て国債で、株式や投資信託は含まれていません。安産第一の運用で今後の運用益は全く期待できませんが、金額が目減りするリスクもありません。(インフレが進めば実質価値が目減りするリスクはありますが)
株式や投資信託への投資は慎重に
私のところにも電話や郵便で銀行から投資信託の勧誘が届きますが、説明を聞くことなくお断りしています。金融情勢が大きく変わらない限りこの姿勢を変えるつもりはありません。
第一の理由は私なりに老後の生活資金を確保しており、あえてリスクを取ってまで資金を増やすことにこだわっていないことがあります。
想定外に長生きすると老後資金もより多く必要ですが、それに対処するため年金受給を4年間繰下げました。これで年間の収支は黒字化できます。妻の介護費用がありますが、特別障害者手当や障害年金、痴ほう介護保険等で十分カバーできます。
今ある貯蓄は将来介護施設に入所したり、入院したり等不慮の出費に備えてのものです。大事なことは目減りさせないことになります。
もう一つの理由は将来的な認知症や相続に備えてのものです。軽い認知症でも株式の売買等投資判断が鈍ってしまいます。認知症と判定されれば株式の売買はできません。預金も同様ですが、預金は金額が変わらないのに対し、株式は株価が下落しても持ち続けるしかありません。
相続の際も遺産分割協議が終わらない限り株式の売却ができません。相続時の株式の評価は死亡時の株価(一定のルールがあります)が適用されるので、遺産分割協議が長引くと、その間に株価が下落するリスクがあります。
株式を相続する方法 評価額の算定で揉めないために | 相続会議 (asahi.com)
定期預金か普通預金か?
私が銀行に入った頃(50年近く前)は預金といえば定期預金でした。年利6~7%くらいの金利が付くのですから、金利の低い普通預金(当時は1%程度)には最低限の残高があれば十分でした。
今は定期預金といえどもほんの僅かしか金利は付きません。
金利だけをみたら定期預金に特段の魅力はありません。
さらに、預金保険制度の問題があります。
定期預金は1銀行につき元本1,000万円迄しか保護に対象になりません。(もし銀行が破綻したら、1,000万円迄が保護されます。)
これに対し、普通預金は決済用預金(利息が付かない)を選択すれば全額保護されます。
また普通預金はキャッシュカードを利用すればATMで気軽に現金を引き出すことができます。代理人カードを用意しておけば、本人が認知症になったり、要介護状態になって銀行に行けなくなっても家族が現金を引き出すことができます。(認知症であることを銀行に届けると預金が凍結されるので注意)
さらに口座振替や振込指定口座の指定も定期預金ではできません。
以上を考えると普通預金の方が定期預金より格段に便利で有利です。
冒頭の家計調査で通貨性預金(大半は普通預金)の割合が増え、定期預金が減っているのもこうしたことが影響していると思われます。
では私が定なぜ期預金の割合を多くしているのかというと、リスク管理のためです。
普通預金はATMで簡単に引き出せるためキャッシュカードの紛失・盗難の際に預金が引き出されてしまうおそれがあります。スキミングにより偽造カードで引き出される可能性もあります。
スキミングによる偽造キャッシュカード被害にご注意ください | 一般社団法人 全国銀行協会 (zenginkyo.or.jp)
またインターネットバンキングを利用する際もフィッシング等により暗証等の情報が盗まれ勝手に預金が引き落とされるおそれもあります。
これに対し定期預金の引き出しは窓口に本人が通帳と印鑑を持参するのが原則なので、犯罪にあうリスクは格段に小さくなります。(ちなみに私は定期預金通帳は全て貸金庫に入れています。)
なお、定期預金はインターネットバンキングでも満期日に引き落としは可能ですが、金融犯罪を避けるためには定期預金口座は登録しないのが無難です。
今のところは定期預金主体でいくつもりですが、認知症のリスクもあり、これから年を取るにつれ普通預金のウェイトを高めていくつもりではあります。