貸金庫の中身が行員に盗まれた
昨日のyahooニュースにこんな記事が
【巨額】三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円窃盗被害 盗んだのは“管理者”の行員…なぜ気がつけなかったのか?今後の立件は?(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース
三菱UFJ銀行の管理職が2020年4月から、約4年半にわたって、東京の練馬支店と玉川支店の約60人分の貸金庫の中身を盗んだというのです。
こちらが三菱UFJ銀行の公表資料です。(同行ホームページより)
被害額は十数億円に上るということです(盗んだ本人の自己申告)。盗んだ本人は懲戒解雇になっています。
盗んだ本人は、その立場(貸金庫の管理責任者)を利用して顧客の金庫を無断開閉し、資産を窃取したようです。
現時点で判明しているのはこの程度です。
どうやって顧客の金庫を開けたのか?
どのようにして顧客の金庫(保護箱)を開けたかについては不明です。
私も銀行員時代には2年くらい貸金庫の管理者を兼務していたことがあります。
ただ40年近く前の事ですし、最近は貸金庫の管理方法も変わってきていると思いますので、ここから先の話は私の勝手な憶測にすぎないことをご了解ください。
まず気になったのは事件にあった支店の貸金庫の設備です。
貸金庫には手動型、半自動型、自動型があります。
貸金庫設備 | 製品情報 | トータルセキュリティ企業【クマヒラ】
手動型貸金庫の場合は貸金庫利用者と金融機関担当者が一緒に貸金庫室に入室し、それぞれの鍵で貸金庫の鍵を開けることになります。暗証付カードではなく、開閉票に署名押印(届出員)して入室します。
手動貸金庫 | 製品情報 | トータルセキュリティ企業【クマヒラ】
もし事件のあった店舗の貸金庫が手動型だった場合はカードや暗唱は必要なく、かつ銀行員が貸金庫室に入室するのが通常なので、内部の管理者であれば犯罪のハードルは低くなるような気がします。
貸金庫の鍵は、正鍵を借主が保管し、副鍵は銀行立会いのうえ、借主が届出の印章により封印し、銀行が保管しています。
私が銀行員だった頃の内部監査では、副鍵の数が貸金庫の契約数と一致しているか、副鍵袋の割印に不自然なものはないか、借主の割印が届出の印鑑と一致しているかがチェックされていました。
このチェックが甘いと不正の余地が生じます。副鍵袋を巧妙に開けまた元に戻す(微妙にに割印ズレが生じると思いますが)とか、一旦副鍵袋を開け後に新しい袋に鍵を入れ似た借主印で再封印する(印鑑照合すればばれますが)手口です。
半自動及び全自動貸金庫では金庫室への入室に際し、開閉票(届出印押印)に代わりカードと暗証番号を使います。その分不正へのハードルが高くなります。
ただ、半自動式では金庫室から自分で鍵を使って保護箱を取り出しブースに持ち込んで開閉します。金庫室へは貸金庫の管理者であれば入室は可能と思われ、鍵さえあれば不正の余地があります。
これに対し全自動式ではブース迄自動で保護箱が運ばれてくるため、カードがあって暗証番号が分かっていないと銀行員が鍵を持っていても不正は難しいような気がします。(銀行員であれば保護箱格納スペースに入ることは可能と思われますので、不正の余地が全くないとは言えませんが)
私が利用しているのは全自動型の貸金庫ですのでリスクは比較的小さいと思っていますが、絶対に安全とは言い切れないようです。
絶対に安全な保管方法はない
とはいえ、こんな事件があっても貸金庫を解約しようとは考えていません。
外部の者が盗んだのなら問題ですが、内部犯行なら想定外の事態が起こることも考えておかねばなりません。
貸金庫以外に重要物を保管しようとしたら家庭用の金庫に保管しておくか、肌身離さず身に着けておくくらいしか思いつきません。
家庭用金庫については実家の金庫の処理の際に知ったのですが、鍵がなくダイヤル番号が不明でも開けることが出来る業者が結構います。犯罪のプロにかかれば金庫を開けることなど難しくなさそうです。
といって常に身に着けていれば紛失や強盗に遭うリスクも結構大きくなります。
そう考えれば、まだまだ貸金庫は安全と思えます。(手数料がかかるのが難点ですが)
私が貸金庫に入れているのは通帳類と権利書ですが、万一盗難にあってもすぐに金銭的損失が生じる訳ではありません。
印鑑は手元で保管しているので通帳だけでは預金を引き出すことはできません。
権利書があっても本人確認ができなければ勝手に所有権が移転されることはありません。
貴金属や宝石なら盗まれると困りますが、全く持っていませんし、今後も購入する気はありません。
ちなみに現金も盗まれると困りますが、そもそも現金を貸金庫に入れて保管するのはNGです。
貸金庫に現金を入れるのはNGです!そのダメな理由と正しい使い方を解説 | 税理士に決算のみ格安で依頼!
三菱UFJ銀行の規定でも現金は貸金庫に入れられるものに入っていません。
利息は付かなくとも銀行に預けておくのが安全です。
我が家の現金といえば、私の財布に入っている数万円が全てです。