このブログも今月から4年目に突入しました。
ご愛読いただき、深く感謝しております。
今まで本ブログは介護や老後の生活・お金の問題などを主として扱ってきましたが、4年目を迎えるにあたり、個人的に興味のある歴史(古代史)や宇宙などについても触れていきたいと思っています。
本日は歴史がテーマです。
日本人のルーツは三重構造?
昨年暮れNHKBSのフロンティアというシリーズで「日本人とは何者なのか」という番組が放送され興味深く視聴しました。
“最初の日本人”縄文人の「親戚」が東南アジアのタイの密林にいた 「古代DNA解析」が明らかにした新事実とは? | NHK
DNA解析(ゲノム解析)を用いて日本人の起源を探ろうとする番組です。
日本人の起源は、列島に住み着いていた縄文人に、大陸からの渡来集団が混血して弥生人となり、現代の日本人につながったとする「二重構造モデル」が定説とされてきました。
ところが最新のDNA解析によると、縄文人の祖先集団、北東アジアに起源を持ち弥生時代に日本に渡ってきた集団、そして東アジアに起源を持ち古墳時代に日本に渡ってきた集団の三集団の混血により日本人が形成されたとする「三重構造モデル」が提唱されるようになりました。
日本人の「完成」は古墳時代だった? DNAを分析、ルーツに新説:朝日新聞デジタル (asahi.com)
下記金沢大学のサイトに縄文時代から現代に至るまでの日本人ゲノムの変遷の資料が掲載されています。
パレオゲノミクスで解明された日本人の三重構造 – 金沢大学 (kanazawa-u.ac.jp)
グラフを抜き出したのが下記です。
古墳時代の人骨のDNA構造は現代日本人と極めて類似しており、この時代に日本人のDNAが形成されたようです。
縄文人は最初に東南アジアにたどり着いたホモサピエンス
NHKの番組では日本人のDNAが形成される過程を追っています。
縄文人のルーツはこんな風に説明されています。
20~30万年前 アフリカで人類(ホモサピエンス)が誕生
6~7万年前 人類がアフリカを出る。
4~5万年前 グループの一つが東南アジアに着く
3万年以上前 海岸沿いに北上した集団が日本にたどり着く
その後温暖化による海水面に上昇を受け、日本列島が大陸と完全に分断され、大陸との行き来が困難になりました。血は混じることなく、その後独自の縄文文化が形成されていきました。
タイやラオス周辺には2万数千年前から4000年前にかけて「ホアビニアン」と呼ばれる狩猟採集民が広く暮らしていました。現在ではほぼ絶滅したようですが、タイの奥地に住むマニ族がホアビニアンの血を引き継いでいるようです。
解析の結果、古代縄文人のDNAがマニ族のDNAとよく似ていることがわかりました。
縄文人は最初に東南アジアに着いたホモサピエンスの子孫であり、その血は現代日本人にも引き継がれています。他の東アジア諸国ではその血は途絶えていることから、日本人は他の東アジアとは異なる遺伝的特徴も持っていることになります。
弥生人は縄文人と北東アジア渡来人との混血
弥生時代の人骨をDNA解析すると、縄文人と北東アジアの要素が混在しています。
北東アジアとは現在のロシアのバイカル湖や中国の遼東半島周辺を指すようです。
弥生人は旧来の縄文人と北東アジアから渡来してきた人が混血してできたようです。
考古学的にも弥生人が縄文人と敵対していた訳ではなく、共存して生活していたと考えられています
現代日本人は古墳時代に形成
古墳時代の人骨をDNA解析すると、縄文と北東アジアに加え中国の黄河流域など東アジアの広い地域にルーツを持つ集団の遺伝情報が加わっていることが分かりました。
弥生人のDNAとはかなり異なり、東アジア由来のDNAが6割以上を占めています。
ここで言う東アジアは中国全土だけでなく、朝鮮やベトナムなどかなり広範囲にわたっているようです。
古墳時代(3世紀半ばから6世紀まで)には、想像を絶するほどの多くの人が日本に渡ってきて、DNA構造が大きく塗り替わったことになります。
古墳時代の人のDNAは現代日本人(本州)と似た構造ですから、この時代に日本人のDNAが出来上がったと考えられます。
古墳時代は資料が少なく(特に4世紀は中国の文献にも記載がなく空白の4世紀と呼ばれている)、謎の多い時代です。
それだけに、いろいろと想像をめぐらす余地があり、自分なりにいろいろ勉強してみようと思っています。
今後のDNA解析に期待
古代人のDNA解析については、始まったから間もなく、検体数もすくないことから、まだ確定的なことはわかりません。
そうした中、理化学研究所から「全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴」というプレスリリースが発表されました。
全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴 | 理化学研究所 (riken.jp)
こちらはNHKの番組とは若干違う視点ですが、三重構造モデルの方がより日本人のルーツをより適正に説明できると述べています。
今後の研究の進展によって、新しい事実が明らかになることを期待してやみません。