不動産の相続税評価額の算出方法は?
先週、固定資産税を支払いました。
市町村から送られてくる固定資産税の納付書には固定資産税課税明細書が添付されています。固定資産税の課税額の根拠を示した書類ですが、相続税評価額を算出する際にも大事な書類となります。
送付された課税明細を参考に、私が保有する不動産の相続税評価額を算出してみました。
私が保有しているのは自宅(マンション)及び父から相続した不動産(実家、農地)です。
下記国税庁のサイトに土地建物の評価額の算出方法が記載されています。
No.4602 土地家屋の評価|国税庁 (nta.go.jp)
土地の評価額は路線価方式ないしは倍率方式を使います。
路線価が定められている地域では路線価方式を使います。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額です。
路線価が定められていない地域については倍率方式が用いられます。
路線価や倍率についてはこちらの国税庁サイトから調べることができます。
一方、建物の評価額は固定資産税評価額と同額ですので、算出は簡単です。
なお、賃貸物件等は評価の方法が異なるので注意が必要です。
自宅の評価額は?
私の自宅はマンションです。マンションは、敷地権(土地)の価額と区分所有する建物の価額の合計額により評価します。
私の自宅周辺は路線価がありますので、土地の評価額の算出には路線価方式を使います。
国税庁サイトから路線価を検索すると200千円とあります。
よって土地の評価額は
200千円(路線価)×22,001㎡(敷地面積)×0.00204(持分)=8,976,405円
となります。
建物の評価額は固定資産税評価額と同額ですので8,629,185円です。
よって自宅の評価額は土地建物合わせ17,305千円となります。
実家の評価は
父から相続した不動産は全て路線価が定められていない地域にあり、土地の評価には倍率方式が適用されます。
倍率は国税庁の財産評価基準のページから調べられます。
相続した不動産は全て浜松市にありますので、ここから検索しました。
令和5年分 財産評価基準書 静岡県 (評価倍率表<一般の土地等用>)|国税庁 (nta.go.jp)
ここから実家の倍率を検索すると1.1とあります。
よって実家の評価は
土地が9,345,420(固定資産税評価)×1.1(倍率)=10,280,072円
建物は固定資産税評価と同じですので3,481,054円
となり、土地建物合計の相続税評価額は13,761千円となります。
農地の評価は面倒
最後は農地の評価です。
市街化調整区域の農地であれば倍率方式で問題ありませんが、市街化区域にあると評価方法が異なります。
私の相続した農地のうち2筆が市街化区域にあります。
この場合宅地比準方式(その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額からその農地を宅地に転用する場合にかかる通常必要と認められる1平方メートル当たりの造成費に相当する金額を控除した金額に、その農地の地積を乗じて計算した金額により評価)で評価することになります。
造成費は国税庁財産評価基準から検索できます。
令和5年分 財産評価基準書 静岡県 宅地造成費の金額表|国税庁 (nta.go.jp)
対象土地は実家のそばにあり実家の相続税評価単価を採用、土盛り、土止めの必要はなく造成費は3,500円としました。
対象市街化農地の相続税評価額単価は
12,834円(土地の単価)-3,500円(造成費)=9,334円/㎡
相続税評価額は291㎡(面積)×9,334円=2,716,194円となります。
それ以外の農地は倍率方式で計算できます。
検索したら倍率は8.8倍から23倍迄と結構幅がありました。
固定資産税評価額に対応する倍率を掛ければ相続税評価額が算出できます。
市街化農地以外の農地の相続税評価額は11,247,591円でした。
市街化農地と合わせると13,964千円になります。
相続した土地の相続税評価の一覧が下表です。
父から相続した不動産はなんとしても処分しないと・・・
自宅 17,305千円
実家 13,761千円
農地 13,964千円
の合計45,030千円になります。
相続税の基礎控除額は3,000万円×600万円×法定相続人数ですので、妻が先に亡くなると法定相続人は子供3人となり、基礎控除額は48百万円となります。
このままでは不動産だけで基礎控除に近い金額となり、預金を加えれば相続の際には結構な相続税負担が発生してしまいます。
その原因は父から相続した不動産(評価額28百万円)にあり、私が死ぬ迄には処分しておくのが重要な相続対策となります。
実家については動き出していますが、農地の処分は容易ではありません。
頭の痛い問題ですが、何か対策を考えないと・・・