貸金庫を解約する気はなく
先日、共同通信社の記者さんから三菱UFJ銀行の貸金庫盗難事件についてインタビュー(電話)を受けました。
こちらのブログに貸金庫のことが時々出てくるのが目に止まったようです。
質問の中に「事件を受けて貸金庫を解約することを考えていますか」というのがありましたが、
私は「貸金庫を解約することは全く考えていません。」
と回答しました。
その理由について書いておきます。
今回の事件はあくまでヒューマンエラー
今回の事件では貸金庫の管理者が副鍵の袋を開けて顧客の保護箱を解錠し中身を盗み取ったようです。
やり方迄は報道されていませんが、副鍵袋を開けた後に新しい袋に入れて似たような印鑑を割印したか、巧妙に副鍵袋を開けた後に元に戻したかのどちらかと思われます。
1件や2件なら不正な袋を見つけるのは難しいかもしれませんが、報道されているような件数であれば副鍵の保管ケースを点検すれば異状に気付きそうなものです。
それが発見されなかったのは銀行の監査が甘かったと思われます。
事件を受けて副鍵を本部管理にするようですから、同じようなことはできなくなります。他行の動向まではわかりませんが、今回の報道で管理が強化されると思われます。
内部の人間による犯行ですので、貸金庫のシステム自体に根本的な欠陥がある訳ではありません。絶対安全とは言えませんが、内部管理強化により安全度は増すと考えてよいかと思います。
家庭用金庫と比べ優れている面が多い
貸金庫以外で貴重品を纏めて収納しようとした場合、最も安全なものは家庭用金庫です。
ただ、鍵がなく暗唱番号が不明な場合でも、専門業者なら開けられる可能性が高く、絶対安全とは言い切れません。火災や風水害に対しても万全ではありません。金庫毎盗まれる可能性もあります。
より安全性を高めるなら高価な金庫を求めることになりますが、価格は100万円以上、重さは100kg以上あります。設置場所にも苦労しそうです。
あまりに厳重だと鍵を無くしたり暗証番号を忘れたりすると簡単には開きません。認知症になったり、相続が発生したりすると金庫を開けることが困難になるおそれがあります。
銀行の貸金庫も今回に事件のように内部犯行だと、絶対安全とは言えません。とはいえ今後対策は強化されるでしょうし、強盗の心配はありません。火災(銀行の金庫室の防火性能は格段に高い)や風水害(建物が頑丈)の耐性は貸金庫の比ではありません。
鍵の紛失や暗証番号忘れ、相続にも対応してもらえます。(多少時間はかかります)
認知症が気になる年齢になったら子供を代理人に登録することもできます。
イレギュラーに対応してもらえるのも貸金庫の強みです。
全自動なら安全度がより高い
今回の事件があった店の貸金庫は全自動型ではなく半自動型ないし手動型のようです。
半自動型や手動型では保護箱が保管されている部屋への入室は銀行の貸金庫管理者であれば難しくありません。むしろ保護箱の戻し忘れや入れ漏れがないか定期的に部屋に入ってチェックするのが普通です。(管理者の仕事です)
その際、副鍵があれば顧客の貸金庫を開けることが可能になります。
これに対し全自動貸金庫は保護箱が保管されている部屋と顧客が保護箱を開けるブースが分離されているため、銀行員といえども保護箱が保管されている部屋への入室は簡単にはできないと思われます。(トラブル対応なら入ることは可能でしょうが)
私が借りているのは全自動型の貸金庫です。
使用方法はこんな感じです。
①専用のカードを使って貸金庫室に入る
②専用のカードを使って貸金庫ブースに入る
③専用のカードを入れ暗唱番号を入力すると、保護箱が出てくる
④保護箱を専用の鍵で開ける
保護箱を戻す時は
①専用の鍵で保護箱を閉じる(保護箱を閉じないと鍵が抜けません)
②返却ボタンを押す
③退出ボタンを押す(保護箱の返却忘れを防ぐため、返却ボタンを先に押さないと退出ボタンが押せないようです)
という流れになります。
銀行員の介在する余地はなく、プライバシーも守れる便利な仕組みです。
安全度は半自動型や手動型に比べ格段に高いと思っています。
貸金庫の種類は店毎に決まっていますが、全自動型を使用している店がそれほど多いとは思えません。
せっかく全自動型を借りられたのですから、解約するのはもったいない気がします。一旦解約すると、空きがなければ再び借りるのは困難です。
この点からも貸金庫の利用は継続しようと思っています。