老健は在宅復帰を目指すための施設
介護老人保健施設(老健)とは、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すために、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する公的施設です。
老健施設とは - 公益社団法人 全国老人保健施設協会 (roken.or.jp)
厚生労働省の介護保険事業状況報告によると、老健の入居者数は57万人、介護施設の中では特別養護老人ホーム(特養)についで入居者数が多い介護施設と思われます。
特養が介護を受けながら長く(看取り迄利用可)生活する施設であるのに対し、老健は介護を受けながらリハビリして在宅復帰を目指す施設です。
共に公的施設ですので、民間施設に比べ費用は低く抑えられています。
特養の入居条件が原則要介護3以上であるのに対し、老健は要介護1から入居できます。
老健の入居者の介護度は1~5迄満遍なくいます。
待機待ちが多い特養に対し、老健の方が入居しやすいと言われています。
ただし老健は在宅復帰が可能とみなされれば退去しなくてはなりません。
妻が入退院の後に利用するのに適しているが・・・
老健は病院から退院してもすぐに在宅生活に復帰するのが困難な人が、在宅復帰できるまで介護とリハビリをしてくれる施設です。
今のところ妻の状況は小康状態ですが、リウマチの進行次第では予断を許しません。病状が悪化すれば入院しての治療が必要になってきます。
また、頸椎、腰椎や股関節については大学病院の医師から手術の必要性のレクチャーも受けており、これらが悪化すれば好むと好まざるにかかわらず手術せざるを得なくなる可能性があります。
こうしたことを考えると、今後も妻が入院する可能性はかなり高いと思われます。(それも1回だけでなく何度も・・・)
これまでの経験からして大学病院に入院できるのは長くても3週間、それを過ぎると退院せざるをえません。
前回妻が入院したのは3年前の8月ですが、退院した後もおむつ替えは介護ベッド上でしかできないなど、介護には随分苦労しました。
この先、妻が入院するとなると、退院後に自宅で介護するのはより厳しい状況になると思われます。
その場合に老健に入所して介護とリハビリをしてもらえるのであれば、私としても大いに助かります。医師が常駐しているのも安心材料です。いずれ退去を求められるとしても、私としては在宅介護がしやすい状態になるまで預かってもらえれば十分です。
老健では医療保険が使えない
ところが妻の老健利用には大きな問題があります。
日本の法律では介護保険制度と医療保険制度は併用できないのです。
老健(介護老人保健施設)は医療保険が使えない?│ケアスル介護 (caresul-kaigo.jp)
介護老人保健施設に入所している間は、原則として医療サービスは介護保険が適用されるため、適用範囲を超えないかぎりは原則として医療費を自己負担する義務はありません。
多くの人は介護保険で医療サービスが受けられるので、あまり問題は生じません。
ところが妻の場合は事情が違います。
妻の場合は医療保険の自己負担分は名古屋市が全て負担してくれます。(身体障害者手帳1級保持のため)医療保険を使った方が有利なのです。
また妻の医療費はかなり高額です。これはエンプレルを1週間毎の自己注射しているためです。エンプレルの薬価は18,359円、1割負担でも1本1,836円かかります。1か月では7,000円以上です。老健では医療保険が使えないため、これらの費用は全て施設側(老健)の負担となります。この状況で妻を受け入れてくれる老健があるかどうか疑問です。
この他、老健には「不必要に入所者のために往診を求め、または入所者を病院もしくは診療所に通院させてはならない」というルールがあるようです。勝手に通院すると医療費は全額自己負担になるおそれがあるようです。
ただ妻は30年近く大学病院に通って膠原病内科の医師の診察を受けています。もし老健に入所したとしても関節リウマチの診察だけは過去の事情を熟知している大学病院の医師の指示を仰ぎたいところです。また大学病院で薬を処方してもらえるので医療保険が適用されれば自己負担はありません。
事前に老健の許可を得れば通院は可能のようですが、妻のケースで簡単に許可がでるか疑問です。
老健は常勤の医師が配置されているので妻が入居するのは魅力がありますが、医療保険が使えないのが大きな制約になるようです。
このあたりは何かよい方法はないかケアマネさんに相談してみようと思っています。