預金の認知症対策
先日のブログで母のキャッシュカードを預かっていること、そのキャッシュカードは母の別口座への送金以外は使わないようにしていること、そして母が認知症になったらキャッシュカードは使わないようにするつもりであることを書きました。
母の場合はこれで対処するつもりですが、将来的には私自身が認知症になった場合のことも考えておかねばなりません。
銀行の預金は基本的には本人の資産であり、預金を払い出す場合には預金者本人の意思確認が必要となるため、家族といえども預金者の預金を払い出すことはできません。
銀行が認知判断能力が低下した顧客との取引をする場合、成年後見制度を利用するのが正規の手続きとなります。(下記全国銀行協会の考え方を参照)
金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版) (zenginkyo.or.jp)
ただし成年後見制度を利用するのは手続きが大変なうえ、月数万円の費用がかかります。実際に成年後見制度の利用は22万人程度にとどまっているようです。
家族の代理人キャッシュカードを作っておく方法がありますが、預金者本人が認知症になった場合、引き出しができなくなるおそれがあります。また、預金者本人が元気な時に、家族に預金残高を見られたり、預金を引き出されるのは抵抗があると思われます。
代理人予約サービス
銀行でも認知症問題に対応する動きがでてきています。
その一つが代理人予約サービスです。
代理人予約サービスについて | みずほ銀行 (mizuhobank.co.jp)
代理人予約サービスは認知・判断機能が低下し、本人による金融取引ができなくなる場合に備え、将来、本人に代わりに取引が可能な代理人を指定できるサービスです。
預金者本人が認知症になる前に家族を代理人に指定し、本人が認知症を発症し取引の意思確認ができなくなった時点から代理人の取引に移行します。
認知症になる前は本人だけで取引が可能で、残高等を把握される心配はありません。
手数料もかかりません。
ただ始まったばかりのサービスで、利用できる銀行が少ないことがネックです。
私が知る範囲ではみずほ銀行や三菱UFJ銀行といったところです。
また、本人が認知症になって以降は代理人が自由に預金を引き出せますので、相続人間のトラブルとなるおそれもあります。
資産継承信託
一方、りそな銀行では「ハートトラスト 心の信託」という資産継承信託が発売されています。
入院・介護でも安心信託 ~ハートトラスト~|りそな銀行・埼玉りそな銀行 (resonabank.co.jp)
こちらは当初に契約した家族が本人に代わり医療費や介護費用を引き出すことのできるサービスです。医療費・介護費以外は本人しか払い出しできません。
契約者本人が死亡した場合は、残った資金を契約した家族が受け取り葬儀費用などに使うことができます。
ただし契約時に信託報酬として55,000円を払う必要があります。(他に運用信託報酬あり)定例管理報酬は不要です。
また預入金額は50万円以上500万円迄となります。それ以上の金額を預託したい場合は「頼れる安心定期」という商品があります。
「頼れる安心特約付き定期預金」の取扱開始について|ニュースリリース|りそな銀行 (resonabank.co.jp)
こちらは定期預金(金額500万円以上)に特約を設定しておくことで、介護や認知症が心配になった時は本人や代理人と定めた家族が「頼れる安心信託」に切り替えることができます。(信託の上限は3,000万円)
切り替え後、家族が本人の医療費・介護費・税金の支払に限り信託の資金を充当することができます
手数料は特約設定時まとめて33,000円ないしは毎月550円のどちらかを選択します。
信託切り替え後は、信託報酬として毎月4,950円の信託報酬と運用報酬がかかります。
信託を使うと家族の預金引き出しには一定の制限がかかりますが、その代わり手数料がかかってきます。
代理人予約サービスにしても頼れる安心定期にしても取扱いが開始されて日が浅く、扱ってくれる銀行も限られてきます。
今後、裾野が広がるにつれて商品内容も改善されてくると思われ、しばらく様子を見ようかと思っています。