認知症になったら預金が引き出せない
厚生労働省の資料によると認知症の有病率は70~74歳では3.6%ですが、75~79歳になると10.4%にアップ、80~84歳では22.4%、85~89歳では44.3%にも達します。
PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)
認知症が進行すると本人が預金を引き出すことが困難になります。親が認知症になった場合、家族といえども預金を引き出すことはできません。
そうなると親の医療や介護費用、老人ホームの費用などを親の口座から引き出すことができません。
この場合の正しい手続きは家庭裁判所に成年後見人を選定してもらうことです。
ただ弁護士や司法書士など家族以外が選任されることもあります。また財産の管理は後見人などの権限となり、家族や本人の意向が反映されるとは限りません。申立ての際も費用がかかるほか成年後見人に対して報酬の支払いが必要となります。
このため成年後見制度はあまり利用されていないようです。
親が認知症になったら、親の銀行口座から預金の引き出しは困難?対策方法を解説|りそなグループ (resonabank.co.jp)
代理人カードには制約あり
私は70歳になったばかりですから今すぐ認知症になる可能性は薄いですが、5年先10年先になれば認知症になる可能性は高まってきます。将来的には何らかの対策を考えておく必要があります。
認知症になっても、銀行がその事実を知らなければ口座が凍結されることはありません。キャッシュカードがあって暗証番号がわかればATMから引き出しは可能です。とはいえ早いうち家族に暗証番号を伝えておくと、変更の都度家族に伝えねばならず不便です。
これを避けるためには代理人用のキャッシュカード(家族カード)を作っておくと便利です。
問題は家族なら誰でも代理人カードを作れる訳ではなく、「同居の成年家族」や「生計を共にする親族」といったしばりがあります。
私の場合は子供たちが全員独立したので、代理人カードの対象になりません。妻は代理人カードを作れますが、車いす生活で銀行に行けないので代理人カードを作っても用を足しません。
代理人カードには別の問題もあります。
認知症対策で代理人カードを作成した場合、本人が認知症にならなくても代理人に預金を引き出されたり、残高を知られる可能性があります。健康なうちは預金を引き出されたり、動きを知られるのは避けたいと思うのが普通です。
またキャッシュカードでは普通預金の引き出ししかできません。定期預金を解約したりするには預金者本人が銀行に出向いて手続きを行う必要がありますが、認知症では困難です。
この他、預金者本人が銀行に認知症であることが分かると、本人どころか代理人カードも使えなくなる可能性があります。
そもそも本人のカードを使うにせよ、代理人カードを使うにせよ、認知症になった後家族が預金を引き出すのは相続の際にトラブルになるおそれもあります。本来の意味で認知症対策といえるかどうかわかりません。
代理人予約サービスを使えると便利
こうした問題を解決するために、最近では代理人予約サービス(予約型代理人サービス)を導入する銀行がでてきました。
news-20210308-001_ja.pdf (mufg.jp)
代理人予約サービスについて | みずほ銀行 (mizuhobank.co.jp)
みずほ銀行の代理人予約サービスは、認知・判断機能が低下して預金者本人による金融取引ができなくなる場合に備え、将来、本人の代わりに取引が可能な代理人を指定できるサービスです。
認知症になる迄は本人のみが取引しますので、預金を引き出されたり動きを把握されることもありません。認知症と診断された時から代理人の取引ができるようになります。(逆に本人の取引は制限されます。)この時から代理人は普通預金に限らず、全て預金の入出金、解約ができるようになります。
代理人として指定できるのはみずほ銀行の場合「原則、配偶者または二親等以内のご親族(血族)」となっています。
私の場合ですと、子供の代理人カードは作れませんが、子供を代理人予約サービスの代理人に指定することができることになります。
預金の認知症対策としては代理人カードよりも代理人予約サービスの方が優れているように思えます。
問題は現時点で取り扱える銀行が少ないことですが、いずれは多くの銀行で取扱いが進んでくるとと思います。
私の場合は今のところ代理人予約サービスしか選択肢がありません。