日本経済研究センターでコンピュータに触れる
1980年、銀行に入って5年目の時、1年間日本経済研究センター(以下日経センターと略します)に出向していました。
マクロ経済と経済予測の勉強です。
日経センターは日本経済新聞社内にあり、当時から多くの研修生を受け入れていました。(50人以上いたと思います。記憶があいまいですみません。)
現在は内容も拡充されているようですが、私が在籍していた当時から短期、中期、長期の経済予測を行い、その結果を公表していました。
私は短期経済予測をするグループに配属され、四半期毎のGDP成長率を推計し、年間で3回公表しました。
経済予測はGDP他内外の経済データを駆使するのでコンピュータが欠かせませんが、私が在籍していた頃はパソコンがまだほとんど普及していない頃です。
当時から日経NEEDSは存在していましたので、日経センター内にある端末機からNEEDSに接続して経済データを取り出し、予測に活用していました。
電話カプラーでNEEDSに繋ぎ、ユーザーコードとパスワードを入力すればデータが使えるようになります。
ディスプレイはなく、アウトプットは紙に印刷していました。
経済データの相関関係を最小二乗法により数式化し、景気予測に役立てていました。
現在ならExcelを使って、データは関係省庁のホームページからダウンロードすればもっと手早く簡単にできるのでしょうが、当時は表計算ソフトなどなく(そもそもパソコンが普及していない)、なかなか面倒な作業でした。
データのダウンロードや加工(季節調整、複合的データの作成等)、相関関係の算出等は設置されている端末機にコマンド(Basic言語のようなもの⁉)を入力して行っていました。
最初はやり方を覚えるのに苦労したものです。
コンピュータの素養がありませんから。銀行の端末機は全くの別物です。
更に、日経センター内に設置されている端末機は当時1台しかなく、一人1時間づつ順番待ちとなります。1日1回使うのが精一杯です。
今の一人1台のパソコン環境は羨ましい限りです。
他にパンチカードで打ち込んで、まとめて処理する方法がありましたが、臨機応変の対応ができないためあまり利用されていませんでした。
このため、予測作業はコンピュータ推計よりはディスクワーク主体、鉛筆と電卓が活用されていました。
現在のようなIT環境があればもっと素晴らしい予測ができたかもしれませんが、人間くささのある予測で、これはこれで味があるのではないでしょうか。
いろいろな会社の方と一緒に作業をして、付き合いも深まり、結構楽しい1年でした。
40年前のことではありますが、コンピュータに興味を持ったのもこの時です。
現在のような状況になるとは想像もつきませんでしたが、自分の人生では貴重な経験と刺激を貰ったと思います。
それにしても、コンピュタがもっと身近になりことは予想がつきましたが、こんなに安価で便利になり、一人1台が早々に来るとは思っていませんでした。
スマホやIiPadのような形態性に優れた機器の登場など想定外です。
それでも日経センターの経験が刺激になり、その後のIT化に自分なりについていくことができたと思います。
1年後銀行に戻り、調査部という部署に配属されて、研修で学んだ知識を活用させてもらいました。