まずは取引銀行に連絡を
相続が発生した場合、預金が相続財産に入ってくることがほとんどです。
私も銀行にいた当時は相続に結構かかわりました。
相続で困るのは連絡を受けてから手続きが完了する迄に時間がかかることです。
完了まで1年以上かかることもありました。
また一昨年は父が逝去し、自らも預金の相続手続きを行いました。
こうした経験を踏まえ、預金の相続についてお話したいと思います。
相続が発生した時、まず問題となるのは故人がどの銀行に預金を持っているか分からないことが結構あることです。
預金通帳がある銀行は問題ありませんが、まとめて保管していない場合は取引銀行を調べる必要があります。近年は通帳のない取引も結構あります。口座振替の領収書等を手掛かりに探すしかありません。
相続手続きが一段落してから、新たに通帳が見つかることはよくあります。銀行に持っていけば手続きはしてもらえますが、書類は再度一通り揃える必要があり、結構面倒です。残高は別として、取引銀行くらいは生前に確認しておくとよいでしょう。
ちなみに私は貸金庫に全て保管していると家族に伝えていますが、しかるべき時期がきたら、一覧を渡しておこうと思っています。
取引銀行がわかれば銀行に連絡します。その銀行全体の取引内容を調べてくれますので、通帳等がないものでも内容は分かります。他の店に口座がある場合も調べてくれると思います。ただし、口座は凍結されますのでご注意ください。
相続に必要な書類は銀行から案内されますので、必要書類を揃え、必要に応じて相続人が署名捺印して銀行に提出します。
書類に不備がなければ、相続手続きが完了し、預金の払い戻し手続きができることになります。
預金の相続手続きはお早目に
相続手続きが完了するまで、個人の預金口座は凍結されてしまいます。
凍結されるということは、単に預金の払い出しができないだけでなく、口座振替引落などもできなくなります。もし家賃収入等がある人ですと、入金ができなくなる可能性もあります。
私の父親が死亡した時の事例をお話しします。
父は農協を主要な取引金融機関にしていました。農協で葬儀を行ったので、預金は即刻凍結されました。すると・・・
- 火災保険料の口座振替ができなくなる~農協より即刻現金を持ってこいと連絡がありました。対応に不満でしたので、速やかに懇意の保険代理店を通じて新たな火災保険契約をしました。
- ガソリン代が口座振替できないので、利用した農協系列のガソリンスタンドに現金を持ってこいと連絡がある~やむなく相続手続きで帰省していた際に現金を持っていきました。僅か1万数千円の金額です。母は高齢で指定のガソリンスタンドへは行けません。
- 農地バンクの賃貸料が入金できない~母の口座を伝えて、入金してもらいました。
農協が相手なのでこんなもんです。人のよい農家を相手にしているので、少々対応が横柄です。(また別途ブログに書きます)。普通の銀行ならもう少し親身に相談に乗って貰えると思います。
電気代等の公共料金も落ちないので、死去後1か月を待たず電力会社等に連絡し、母の口座から落とすよう手続きをしました。
年金も同様に、ねんきん事務所に行き手続きを済ませました。
トラブルを避けることも重要ですが、預金が凍結されていると葬儀費用等も相続人の誰かが立て替えなければなりません。
遺産分割前の払い戻し制度もありますが、預金については早めに相続手続きを進めるのが一番です。
遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内チラシ (zenginkyo.or.jp)
戸籍謄本に注意
相続手続きには被相続人・相続人の戸籍(除籍)謄本と相続人全員の印鑑証明が必要です。
みずほ銀行の例を添付しておきます。
遺産分割協議書はなくてもかまいませんが、所定の書式に相続人全員の署名・捺印(実印)が必要です。
注意しておきたいのは戸籍謄本で、改製原戸籍が必要な場合がでてきます。
名古屋市:改製原戸籍(原戸籍)とはどういった戸籍ですか(中村区) (city.nagoya.jp)
現在の戸籍はコンピュータ化されていますが、移行の際切り捨てられたデータがあり、その場合は改製原戸籍という昔の紙の謄本を見ないと相続人が確定できないのです。
このため相続手続きに際しては改製原戸籍を取得しておいた方が何かと便利です
なお、「法定相続情報一覧図の写し」があれば、戸籍謄本の提出は不要の銀行もあり便利です。私も司法書士に作成してもらいました。
相続財産に不動産がある場合は司法書士のお世話になりますので、最初に作成してもらうと便利です。(事前に改製原戸籍を司法書士に渡す必要があります)
「法定相続情報証明制度」について:法務局 (moj.go.jp)
必要書類が揃い、相続人全員の署名・捺印があれば預金の相続はスムーズに進みますので、お早目に手続きするとよいでしょう。