リタイアおじさんの介護とシニアライフ

名古屋市在住の71歳。要介護4(身障手帳1級)の妻を在宅介護しつつ、シニアライフをそれなりに楽しんでいます。

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認知症になったら預金が引き出せない

銀行預金は本人しか引き出せない

私が銀行に入った頃は(50年近く前のかなり昔の話ですが)、のんびりした時代で夫の預金を妻が引き出しに来ることは普通にありました。

会社の従業員数人分の預金通帳と請求書を代表の方が持参して、お金を引き出しにくることもありました。

当然ながら、夫婦間、親子間であっても、名義が違えば別人の預金です。

本人以外が預金を引き出すことは原則できません。

年とともに、本人確認が厳しくなってきました。

三菱UFJ銀行の例が下記ホームページに記載されています。

www.bk.mufg.jp

私の妻は、手首や指の力が低下してまともに字を書くことができません。

私が代わりに妻の通帳と印鑑を持って取引銀行に預金を引き出しに行っても拒否されてしまいます。女性名義の通帳を男性が引き出そうとすれば、本人でないことは明らかです。

妻の委任状があれば引き出せるかもしれませんが、委任状に妻が署名できません。

ただ、妻の預金を引き出せなくとも、預金の多くは私名義ですからさほど支障はありません。

問題は私が認知症になった場合です。治療費や介護施設の費用等を銀行から引き出そうとしても、簡単には引き出せません。

認知症が判明すれば、口座が凍結されるケースもあるようです。

預金者ご本人の意思確認ができない場合における預金の引き出しに関するご案内資料 (zenginkyo.or.jp)

www.resonabank.co.jp

成年後見人を選定するのもたいへん!

この問題は解決するための方法として成年後見人を選定する方法があります。

というか、これが正しい方法です。

ただ上記りそな銀行サイトにあるように、弁護士や司法書士など家族以外が選任されることもあります。また財産の管理は後見人などの権限となり、家族や本人の意向が反映されるとは限りません。さらに申立ての際も費用がかかるほか成年後見人に対して報酬の支払いが必要となります。

 成年後見人については次のサイトにまとめられています。

kaigo.homes.co.jp

成年後見人にかかる費用については次のサイトにでてきますが、初期費用(鑑定費用だけで10万円近くかかる場合あり)の他に毎月3万円程度の報酬がかかるようです。

souzoku.asahi.com

金銭面だけでなく、申し立ての手間(申し立ての前に相続人間の話し合いも必要)も煩雑であることから、預金引き出しのためだけに成年後見人を選定するのはあまり現実的ではなさそうです。

自分が認知症になる前に手を打っておかないと・・・

年を取ると認知症にかかる可能性も高くなるので、元気なうちに手を打っておいた方がよさそうです。

私が今考えているのは、しかるべき時になったら介護費用用の口座を作成し、そこに介護にかかりそうな費用を入金しておいて、同居している娘二人のうち一人に口座のキャッシュカード、一人に通帳と印鑑を渡しておこうと思っています。

キャッシュカードであれば本人確認は行われませんので、認知症になっても引き出しは可能です。もう一人が通帳で出入りをチェックしておけば、相続時のトラブル防止に繋がります。

本来は認知症になると預金引き出しの委任も成立しないのですが、元気なうちに引き出しを委任したということで(委任書類を作成した方がよさそうですが)、道義的には許してもらえるのかなと勝手に考えています。(元銀行員がこんなことを書いていいのかなとは思いますが・・・)

ただ、認知症で施設に入る時に施設から銀行に連絡がいったりすると預金が凍結されてしまい、この方法ではどうにもなりません。

では、介護用の通帳を渡す時に口座名義も変えておくということも考えられますが、この場合は娘への贈与となり、贈与税が課せられてしまいます。

なお、三井住友銀行に口座を開くと、申請すれば代理人キャッシュカードを発行してもらえ、代理人でも入出金ができます。

www.smbc.co.jp

ただし、「預金者ご本人さまの意思確認ができなくなってしまった場合は、成年後見制度をご利用いただくことで、ご本人さま以外の方がお取引することができます。」とありますので、留意が必要です。

現金で介護費用を用意しておくという手もありますが、防犯の問題があります。娘に貸金庫を借りさせ、その中に現金を入れておけば、現金を取りに行く手間はかかりますが、安全ではあります。税法上の問題(贈与等)がでてくる可能性はありますが、確認はしていません。

相続人に資金の余裕があったとしても、自分の介護費用は自分で負担したいものです。まして相続税がかかるケースではなおさらです。(相続人が介護費用を負担しても相続財産から控除されません)

ただ、有効な対策というと完全なものはありません。

高齢化社会の進展とともに、この問題の解決策がでてくることを期待したいところです。