シニア向け分譲マンションとは
先日の現代ビジネスの記事です。
70台半ばの単身生活のご婦人が、実家を売却して4千万円シニア向け分譲マンションを購入したものの、2年足らずで転倒して要介護状態になり老人ホームへ移らざるえない状態となってしまいました。
やむなくシニアマンションを売りに出したものの、買い手がなかなかつかず、その間管理費や固定資産税を払い続けざるをえず、途方に暮れているという記事です。
シニア向け分譲マンションとは、高齢者が生活しやすいように配慮されたバリアフリー完備の分譲マンションのことです。
老人ホーム・福祉施設と大きく異なるのは、分譲マンションを購入するという形になります。購入後は売却、譲渡、賃貸を自由に行うことができ、子どもに相続させることもできます。
富裕層を入居対象としていることが多く、充実した生活支援サービスを受けられることができ、フィットネスジム、レストラン、シアタールーム、温泉などが併設されている施設もあります。
上記記事のご婦人も豪華な施設を楽しみに購入されたようです。
また、高齢者が利用しやすいよう手すりがあったり段差が解消されていたり、コンシェルジュが常駐するなど、様々な生活支援サービスが整っています。
ただ、介護サービス等については法的な規制はありません。
訪問介護事業者やクリニックなどの高齢者向けサービスを提供する事業者をテナントに入れ、高齢者が生活しやすいような工夫を施しているところが多いようです。
入居者に介護が必要になった場合には別途外部の介護事業所と契約して訪問介護や訪問看護サービスを利用することになります。
問題は介護度が高くなった場合で、老人ホームや介護施設に移らないと適切な介護サービスが受けられません。
その場合はシニアマンションを売却しないと、管理費負担が大変です。
シニアマンションの管理費がこちらのサイトに出ています。
上記サイトの例では生活費として125,000円くらいかかるとされています。
退去した場合は食費の負担はないと思いますが、6万円~8万円くらいは住んでいなくても支払いが必要なようです。普通のマンションの管理費・積立金よりずっと高くなります。
更に固定資産税の負担もあります。
シニアマンションは簡単に売却できないことも
シニア向け分譲マンションは各人が区分所有権を保有していますので、売却、賃貸が可能です。相続財産にもなります。
ただシニア向け分譲マンションは、まだ物件数が多くないため中古市場が確立していないと言われています。
冒頭の70代の女性のように、いざうろうとしても簡単には買い手がみつからない可能性があります。シニア向け分譲マンションは登場してからまだ日が浅く、物件数自体が少ないことからも、中古市場が確立していません。
購入対象者も高齢者に限られます。
購入希望者を探すのも時間がかかるため、その間高い管理費を払い続けなければなりません。
相続財産になりますが、これも問題があります。
シニア向け分譲マンションは規約により高齢者しか住めないケースがあります。
相続人が若ければもちろんですが、シニア世代であっても家族状況等からそこに住もうと思うことはあまりないと思います。
相続で所得すると管理費や固定資産税で年間100万円以上の支払いが必要になる可能性は十分あります。
かといって売却や賃貸しようとしても、購入先や借主を見つけることは簡単ではありません。
場合によっては不動産ならぬ負動産になってしまう可能性も十分あります。
私が相続した実家や農地と同様です。
管理面の不安も
シニア向け分譲マンションは介護度が高くなっても自分で所有しているため、退去を迫られることはありません。(訪問看護・介護で対応できるかは不安はありますが)
ただ、痴ほうが進んだ方がそのまま住んでいる可能性もでてくるため、トラブル発生等住環境に問題が発生する可能性もあります。
シニア向け分譲マンションの運営管理も通常のマンションと同じように入居者が管理組合をつくってルール等を作成し、きちんと守れるよう管理します。
入居者が高齢者ばかりなのできちんと運営できるか不安な面があります。納得できるルールが作られ、それを居住者がきちんと守らないと、快適なマンションライフは満喫できません。
その他、築年数が経過して大規模修繕が必要になった時に入居者の同意がスムーズに得られるかという不安もあります。入居者もますます高齢化する訳ですから、今更修繕の必要性を感じないのではないでしょうか。
そうなるとますます老朽化し、住環境も低下するという悪循環に陥りかねません。
シニア向け分譲マンションはまだ歴史が浅く、先が見えにくい部分があります。
サービス月高齢者向け住宅等をうまく活用した方が、資産としては残らなくとも無難な気がします。
何より介護度が高くなった時に、介護付き老人ホーム等に気軽に移れます。