相続トラブルを避けるためには遺言書の作成が大切
相続というと相続税が頭に浮かびますが、実際に相続税を払う人はそれほどいません。相続税が課税されるのは1割もありません。
sozoku_shinkoku.pdf (nta.go.jp)
ただ相続税は発生しなくとも遺産の分割でトラブルが発生することは珍しくないようです。
トラブルを避けるには生前に遺言書を作成しておくことが重要になってきます。
遺言書を書くうえで注意しなければならないのが遺留分です。遺留分とは、法律で定められた最低限の取り分で、たとえ遺言書に「1円も渡さない」と書かれていても、遺留分は奪うことはできません。
私の妹夫婦は子供がいないため、兄弟にも法定相続分が発生します。配偶者が全額相続するのがベストと思うので遺言書を書くことを勧めています。兄弟姉妹には遺留分はありませんので、遺言書を書けば全額を配偶者に渡すことができます。
遺言書には「誰に」「何を」「どんな割合で」相続させるかを、できるだけ具体的に書きます。
なお遺言書には、遺産分割割合などを具体的に指示する本文のほか、法的効力はないが自由に書ける「付言事項」があります。
付言事項は遺産分割割合の意図や家族への感謝の言葉が書かれることが多いようです。
また目録にない財産が出てきた場合の分割方法を書いておくと財産の見落としがあった際に助かります。
自筆証書遺言か公正証書遺言か
遺言書には、すべて自分で手書きする「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」の2種類があります。
公正証書遺言は公証人が作成するため、不備がある可能性は低いとされています。
ただし、作成のための費用が必要です。事前に弁護士に相談するとなると、相応な費用がかかります。
公正証書で私が気になっているのは、遺言書を書く時期です。公正証書遺言を作成すると修正は結構手間がかかります。死ぬ間際に書けばいいのでしょうが、いつ死ぬかは誰もわかりません。ある程度高齢になれば痴ほうになるおそれがあり、そうなると遺言自体が無効になるおそれがあります。
頭も体も元気なうちに書いておくのが一番と思いますが、長生きすると相続財産や相続人の状況も変わってしまい、修正が必要になってきます。
そうなると簡単に修正できる自筆証書遺言の方が融通性があり便利です。
自筆証書遺言の書き方
自筆証書遺言は、法律的に見て不備な内容であると無効になるおそれがあります。
このため書き方には細心の注意が必要です。
こちらのサイトに失敗しない自筆証書遺言の書き方がでています。
トラブル回避のための秘訣が54個記載されています。
多額の財産があれば別ですが、そうでなければそれ程難しくはありません。
自筆証書遺言書保管制度の利用が便利
ただし、自筆証書遺言については遺言書の書き方(法的な不備)のリスクの他
〇遺言書の存在を相続人が知らない可能性がある
〇遺言書の保管場所を相続人が分からないことがある
〇遺言書を紛失するおそれがある
〇遺言書が改ざんされるおそれがある
といった問題点があります。
これを避けるためには「自筆証書遺言書保管制度」を使うと便利です。
自筆証書遺言書保管制度は、自身で作成した遺言書を法務局が保管する制度です。紛失や消失、改ざんや隠匿のおそれがなく、遺言者の死後に法務局が相続人に遺言書の保管を通知します
この制度を利用することにより
〇遺言書の保管申請時には,民法の定める自筆証書遺言の形式に適合するかについて,遺言書保管官の外形的なチェックが受けられる。(ただし保管された遺言書の有効性を保証するものではない。)
〇遺言書は,原本に加え,画像データとしても長期間適正に管理される~遺言書の紛失・亡失のおそれがない。相続人等の利害関係者による遺言書の破棄,隠匿,改ざん等を防ぐことができる。
〇相続人に通知が届く
〇相続開始後,家庭裁判所における検認が不要になる
といったメリットがあり、自筆証書遺言の持つ問題点をかなり解消することができます。
私は70代に入ったらパソコンで遺言書の骨組みから作ってみようと思います。
状況によって内容を見直しながら、80代に入ったらタイミングを見ながら自筆証書遺言書保管制度に即した遺言書にすることを考えています。