リタイアおじさんの介護とシニアライフ

名古屋市在住の71歳。要介護4(身障手帳1級)の妻を在宅介護しつつ、シニアライフをそれなりに楽しんでいます。

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親子の駆け引き?

母の涙は?

先日、母が入居する老人ホームに行き、母が老人ホームを退去したいという気持ちを何とか抑え込みました。

 

koichi68.hatenablog.com

母が涙ぐみながらに(大げさではありませんが)訴えたのは事実です。

横にいた老人ホームの施設長はどこか心配そうでした。

ただ何とか母を説得して帰路の途中、ふと違和感を覚えました。

母との会話が何となく、仕事で交渉している時と同じような感じがするのです。

ビジネスの交渉では、交渉相手といかに親しくとも、お互い腹の探り合いになります。

互いに会社を代表して交渉をしている訳ですから、少しでも自分の会社に有利になるように話を進めようとします。100%こちらの主張が通る訳ではありませんから、相手の腹の中を探りながら、妥協点を探ることになります。

表面的にはにこやかに話しますが、結構な駆け引きが行われます。腹を割って話すという訳にはいきません。時には芝居がかって話すこともあります。

交渉事には独特の空気があるのです。

そして交渉事が終わると空気が一変し、仲良く雑談に変わります。ここからは駆け引きもなく、本音の会話となります。

母との会話はまさしくこの流れ。もしかして母の涙は話を有利にするためにわざとやっていたのではないかと思えたのです。泣き落としというやつです。

妹に聞くと

家に戻った後、この日の状況を伝えるために弟と妹に電話をしました。

私が「母が涙ぐみながら実家に戻りたいと訴えてきたが、どうも芝居じみていて、ウソ泣きのように感じたんだけど・・・」と話すと

弟は「そんなことはないと思うけど」という返事でしたが、

妹は「同情を誘おうと涙ぐみながら話すのはいつものことだよ。二度や三度ではないよ。私はそれで何度も苦労してきた。またそんな言い方をするとは本当に腹が立つ。」

とご立腹でした。

どうやら私の直観は合っていそうです。

妹は実家から数百メートルしか離れていないところに住んでいます。時々喧嘩をすることもあったと(普段は仲良しですが)母から聞いていましたから、妹の言うことは間違ってはいないと思われます。

でも立腹する妹に対して、私はこう伝えました。

「やっぱりとは思ったけど、僕は怒っていないよ。92歳にもなって泣き落としを使ってまで息子との話を有利に進めようとするのは、たいしたもんだよ。元気な証拠だ。」

これは本音です。

似た者同士の親子だから

今回の騒動の発端は6日に母から届いた1通の手紙です。

koichi68.hatenablog.com

この手紙、92歳の老人が書いたにしては文字も丁寧で、文意もしっかりわかります。誤字も訂正もありません。

母は一時の感情でこの手紙を書いたのではなく、かなり前から何度も下書きを書き、最後に清書したと思われます。年初あたりから手紙を出すタイミングを測っていたのではないでしょうか。

もちろん手紙が届いたところで、すぐに願いが聞き届けられるとは母も思っていなかったと思います。

手紙の文末には

「今すぐと言うわけではないが考えてください」

とありました。

母は弟にも同じ趣旨の手紙を書いていましたから、長期戦覚悟で少しづつ流れを変えていきたいと思っていたのかもしれません。

私がすぐに老人ホームを訪れる旨を連絡したのは、母にとっては少々計算違いだったと思われます。すぐ動くということは、私が母の希望を受け入れず、老人ホームに残るよう説得しに来るというのだと気づいたはずです。

母としては話す場所が老人ホームですし、施設長も同席する訳ですから、強引に退去したいと主張する訳にはいきません。老人ホームの職員さんとも気まずくなりかねません。

そこで涙ながらに気持ちを訴えて同情を誘い、適当なところで主張を引っ込める作戦を採ったのではないかと想像しています。なかなかの策士です。

もっとも私の方も強引な方法で説得すると母が反発して事態を収拾できないと考えていました。逃げ道を用意して、母が名誉ある撤退ができるようにしてあげねばなりません。

お土産を持参して雰囲気を和らげ、墓参りの話をして話題を切り替え、長男の結婚話を最後に用意するなど事前に対策を講じていました。

打ち合わせをした訳ではありませんが、結果的に母も私も同じようなストーリーを構築し、それに向かって互いに演技をしたのかもしれません。

私は顔は亡父にそっくりですが、考え方や性格などは母と瓜二つです。3人きょうだいの中で一番強く母のDNAを受け継いでいます。

私は母の行動をある程度予測できますが、母も私がどう動くか分かっているはずです。似た者同士の親子が駆け引きをして収まるところに落ち着いたというところでしょうか。

それにしても親子の話し合いに同席し、ハラハラしながら聞いていた老人ホームの施設長さんにはご心配とご迷惑をお掛けしました。

でも母はずっと老人ホームに居るとは言っていません。主張を引っ込めただけです。

第二弾、第三弾を用意してくるかもしれません。こちらも折れる気はありませんから受けて立ちます。またいろいろと駆け引きがあるかもしれません。

施設長さん、ご迷惑をお掛けします。

いい歳をして(92歳ともうすぐ70歳)本当にしょうもない親子で申し訳ありません。