私は繰り下げ、母は繰り上げ、妻は通常受給
私は昨年69歳になってから年金を貰い始めました。
繰り下げ受給を選択したのです。
母は60歳から繰り上げ受給を選択したので、親子で正反対の行動をとったことになります。
ちなみに厚生年金を繰り下げ受給した人の割合は1%ということなので、かなりレアな選択をしたことになります。
老齢年金を繰上げ・繰下げ受給している人の割合はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター (jili.or.jp)
私は65歳になってからも働いていて収入があった(2年間)ことや、多少の蓄えがありリタイアしてからもしばらくは無収入でも生活できることから年金の支給時期を遅らせていました。
老齢基礎(厚生)年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができます。繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。
年金の繰下げ受給|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
なお妻は障害基礎年金を受給していますが、こちらは繰り下げ対象にはなりません。老齢厚生年金も受け取っており、こちらは繰り下げ可能ですが、金額は少額ですので繰り下げ手続きは取りませんでした。(上記サイトの注意点の5参照)
繰り下げの効果を出すためには長生きしないと・・・
年金繰り下げの最大のメリットは増額した年金を受け取れることです。
上記日本年金機構のサイトに繰り延べた場合の増額率が記載されていますが、4年据え置きで33.6%、5年据え置きで42.0%受給額がアップします。
ただし年金を貰い始める時期が遅れますので、最初のうちは累計受給額が繰り下げしない場合より少なくなります。
下のグラフは月17万円年金を貰える人が65歳で受給開始した場合と70歳から繰り下げ受給した場合の年金の累計受給額を試算したものです。
5年繰下げた場合は81歳まで生きないと生涯で貰える年金が少なくなってしまいます。
私は4年繰下げたので80歳迄(あと10年)生きないと、繰下げた効果が出ません。
ただ何歳迄生きられるかは誰も分かりません。亡くなってから損得が確定するので、現実には繰り下げして損したと後悔することはないのかもしれません。
体の弱い人は早めに年金を受給した方がよいとの意見もありますが、体が弱いから長生きしないとは限りません。そもそも65歳迄生きられたのですから、一概に体が弱いとは言い切れません。
母は病気をしたこともあり年金繰り上げ受給を選択しました。その後60代後半には急性白血病にもなりました。その頃は年金繰り上げを選択して正解だったと感じたかもしれませんが、奇跡的に全快した後は病気をすることもなく90歳を超えた今も元気です。
今考えれば繰り下げ受給迄はしなくても、せめて65歳から受給し始めていたらもう少し年金が貰えたのにもと思いますが後の祭りです。
年金の受給時期を考えるうえで、累計年金額の損得に強くこだわる必要はないというのが私の思いです。寿命がどれだけ残っているかなど誰も分かりません。
長生きするリスクも考えないと
私が繰り下げ受給を選択したのは長生きのリスクを考えたためです。
年金で生活費が賄えない場合は貯蓄を取り崩すことになりますが、長生きするとより多くの貯蓄が必要になります。
また年金で生活費が賄えたとしても、年を取れば取るほど要介護の状態になるリスクが高まります。
85歳以上では要介護と認定される人の割合が6割近く(58%)にも達します。
図表2-1-4 年齢階級別の要介護認定率|令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
90歳以上では7割を超えてしまいます。
要介護になると在宅介護でも月5万円程度の費用がかかります。
【誰が負担する?】在宅介護の平均費用(訪問・通所)を解説|みんなの介護 (minnanokaigo.com)
更に、介助する人にも負担がかかります。(肉体的負担、精神的負担、経済的負担)
在宅介護が困難であれば施設に入所することになりますが、そうなればより一層の費用がかかります。
毎月の費用は公的施設で5万~15万円、民間施設では15万~30万円が目安と言われています。公的施設(特養等)は費用が安いですが、すぐに入居できない(入居待ち)施設も多くあります。
これを年金だけで賄うのは難しいかもしれませんが、貰う年金が多ければ月々の赤字を小さくすることができます。
私はこうしたこと(長生きのリスク)を考えて年金の繰り下げ受給を選択しました。
妻は既に要介護4ですし、私が要介護状態になれば二人で施設に入らなければなりません。4年間据え置くことで33%年金がアップしたので、いざという時には支えになります。私たち夫婦のために子供たちに経済的負担を掛けさせたくはありません。
もし私が70代で亡くなれば年金収支的には損になりますが、そのことはあまり気にしていません。長生きすることにより経済的負担が増すことの方が問題と考えています。
とはいえ妻の介護もありますから簡単には死ねません。
散歩や体操等健康には最大限に気を使って、少しでも長生きしたいと思っています。